舞台美術セミナーレポート 〈ひばり〉

「ひばり」を舞台美術セミナーのあった22日に観劇してきました。

まずは本編の感想です。
予習しない派ですが、珍しく文庫本を読んでいました。
文庫本はストーリーは解るのですが、私には台詞が難解で、楽しめるのかな?と思っていましたが、舞台では難解な部分は殆どカットされているような感じでした。
意外にもクスッと笑える場面もあって、あっという間に終わった気がしました。
ただ、無宗教のせいか、宗教的な部分は体にすっと入っていくというわけにはいきませんでした

野村ジャンヌ
演り慣れてるなぁという印象でしたが、このカマトトっぷり(笑)はオンディーヌ?と思ったりもしました。
実年齢と役がかけ離れてることに起因するんでしょうか?
かと言って、今の四季でこの台詞を操れる若手…見当たらないなぁ

志村コーション
え~と…はっきり言って、志村さん、そのまんまでした
台詞を言ってるだけにしか思えなかったです。

加藤シャルル七世
敬二さん好きなんだけど、う~ん、ちょっとこれは無いわ~と思ってしまいました。
全然違う役なのに、何故か「破裏拳ポリマー」に出てきたロックデナシス・ジュニア(←大金持ちの息子で我が儘放題なろくでなし)に見えてしまった…なんて言ってもわかる方は滅多にいないだろうな。

ボードリクールは、アルプの予定キャストでは田代さんだったのが、味さんでの上演でした。
が、味さんを観ながら何故か頭の中では隆生さんを描いていました。
何故??と思っていたのですが、前回(2004年)は隆生さんがこの役を演じてらしたんですね。
役に馴染んでいない印象もあり、急遽の登板で前回のVTRを観て勉強されたのかな?と勝手に想像しちゃいました。

それ以上に自分の意志とは関係なく(←ここ強調!笑)勝手に脳内変換されてしまったのが、ランス大司教。
身振りも台詞回しもみんな石波さんに変換されてました。
あまりに見事に変換され過ぎてて、石波大司教を観た気になってます(星野さん、ごめんなさい)

良かったのは、コーションや大審問官たちが座る椅子(剣のオブジェみたいなのも含む)と後方のホリゾントに映る影。
金森さんと吉井さんのコラボですね

ということで(?)その舞台美術セミナーです。

セミナー講師は、お馴染み土屋茂昭さん。
金森さんが作ったものを、ちゃんと再現できているか監修するのが土屋さんの役目だそうです。

セミナーの題は「~同芯円に捕えられた『ひばり』~」だったそうで、私も初めて知りましたがそれを知ってる人がいなかったのを残念そうにされていました。
だって、最初にセミナーが発表された時には、副題ついてなかったよ?

その同芯円(心ではなく芯なのですね)についての説明から。
真ん中のジャンヌが座る所に白い円があり、その回り(ほぼ舞台いっぱい)にグレーの円、そしてその外側に黒い階段~大審問官たちが座る椅子のセット、これが三重の同芯円。
同心円であることによって、ジャンヌの求心力、ジャンヌを中心に物も意識も拡がっていくということを表しているのだそうです。
そして、舞台は2.5度の傾斜舞台、でも階段などは水平なために工夫があるということでした。

ここで舞台監督の賀川さん登壇。
「ひばり」はスタッフ7名(うち、照明・音声が5名、裏方は2名)なので、研修生2名がお手伝いしているそうです。

次にライティングの説明がありました。
ジャンヌ、司教、ウォーリック、シャルル、それぞれを強調するライトがあることを実演。
ある場面で、シャルルと近づいた大審問官たちにスポットが当たっている時に、上手のウォーリックにもライトが当たっているのは、ウォーリックが見ているということを強調しているのではないか、というお話でした。

次はホリの青と赤の照明を切り替えて見せてくれました。
それから、白い雲は前から当てていて、鰯雲は後ろから当てているという説明がありました。
後ろからの方が透明性が高いのだそうです。

今度は衣装。
まずは王妃とジャンヌ母。
端折って裏地を見せているなど、同じようなデザイン。
(母の衣装で)ウエスト位置が高く、お腹のあたりがふっくらしたデザインになっている当時の服装は、当時、ペストが流行し、受胎願望があったのではないか?とのこと。

ウォーリックとシャルルの衣装。
シャルルの衣装にも毛皮が使われているし、ウォーリックの袖口にもうさぎの毛皮。
当時、ブルゴーニュ派とアルマニャック派があって、どの派に属しているかによって、頭に載せるターバンの巻き方が右巻きor左巻き、どちらでもなければ真ん中とかいうようになっていたそうです。

コーションの衣装は、実際に着ていくのを実演してくれました。
一番下に着た白い服にはメッシュになっている部分があり、あまりに暑いので通気しているとのことでした。
十二単じゃないけど、4~5枚重ね着をしていて、確かに暑そう。
モデルになった俳優さんは「重い…」と言ってました。
なるべく当時の服を再現しているため、重いのだそうです。

大審問官の帽子。
まず、稽古中に使っていた帽子を被ると、顔が陰になってしまって見えませんでした。
最初は、大審問官の席がもっと高かったので、これで良かったそうですが、低くなったために「土屋、どうにかしろ」ということになり、開幕2日前に帽子の角度を変えたそうです。

ラ・イールの剣。
鉄でできているとのことで、なぐりで叩いてくれたのですが、特別いい音でもなく…土屋さんも試してみた時に「FRPと変わらないや」と思ったとか。
この剣は現在、2つあって、一幕は短い方、二幕は長い方を使っているそうです。
もともとは短い方だったそうですが、前回の俳優さんがすごい長身だったために長いものを作ったそうです。
長い方が格好いいのだけれど、階段を上がる時にこすったり音が出てしまうので、一幕は短いものを使っているとのことでした。

土屋さんが解説し忘れたということで、ここで説明されたのが、ジャンヌの男装=異端ということだが、異端を繰り返す(一度異端を放棄して、また異端になる)ことが死刑の条件だったということです。

それから、最初に説明のあった、傾斜舞台と水平部分ということの実演。
2つに折りたたまれている中央の階段を伸ばしてみると、傾斜につっかえてしまい、階段の下端が床に着きません。
そこで、つかえる部分の床をボコッと下げると、階段が(気持ちよく吸い込まれ)見事に着地!

最後は火刑台のセットを再現。
薪など19パーツになっているのを、早く、音をたてずにセッティングする稽古をずいぶんやったそうです。
(19と聞こえたけど、薪は上下にあり、29?)
実演されている時も、(慣れていない方もいらして)結構大変そうだったのに、本編では気にならなかったので、成果があったんだな~と思いました。

その後、恒例の(?)見学(ステージ上~上手~ステージ裏~下手~ステージ上)と質問コーナーがありました。

土屋さんのお話を聞いていて、この時代の背景をもしっかり把握されていることに、そうじゃなくちゃいい仕事はできないよなぁ、と思いました。
どんな仕事でも勉強は大事!がんばろ~!っと。

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