ポストショートークに山田太一さん 〈河のむこうで人が呼ぶ〉

7日、劇団昴「河の向こうで人が呼ぶ」@あうるすぽっとを観てきました。

作…山田太一
出演…田中正彦 磯辺万沙子 上領幸子 鎌田翔平 一柳みる 山口嘉三 西本裕行

公演タイトルとチラシの雰囲気から、重たい(暗い)作品なのかなと思ってましたが、「面白かった~!」と思えるコメディホームドラマでした。
お話を超~簡単に書くと、「軽くて手術の必要もない胃潰瘍」を「重くて手術のしようもない癌」と思いこんだ夫と、その家族(妻、息子、娘、父、亡くなった母)のお話です。

舞台セットもどこにでもあるちょっと年数のいった普通のマンションの一室。
開演前に眺めている時、TVが今風の薄型ではなく、奥に出っ張ったCRTなところがやたらと目についたんですが、その点に関しても、夫の台詞に出てきました。
あ~、なるほど、それでこのTVなのね~

ものすごくリアリティのあるセットでしたが、家族の会話や動きのひとつひとつも、まるでどこかの家庭をのぞき見してるかのような細かい描写で、ぐいぐい引き込まれていきました。
そんなリアルな状況の中(だからこそ?)しっかり笑える展開…クスクスでもクックッでもなく、あっはっは!という心地よい笑いもたくさんあって、本当に面白かったです。

元気なおじいちゃん(75)を演じる西本さん(82才位?)がたまらなく可愛かった
元気なところを見せるために走ったりジャンプしたり…実際はきつかったと思いますが、笑顔で動き回ってる姿は、観に来て良かったと思うくらい軽やかな動きでした~!

亡くなった母(幽霊)役の一柳さんは、映画版「マンマ・ミーア」DVDでドナの吹き替えをされています。
そのお陰でお声は何回か聞いていたので、どんな方かと楽しみにしていました。
実際拝見すると、役柄は全く違いますが、お顔の雰囲気がドナを演じるメリル・ストリープにどことなく似てる~と思いました~!
他の役でも観てみたいなぁ。

ちょっとビックリだったのは、医師役の山口さん。
山口さんは、劇団四季の公演で何役も拝見してますが、カチッとしたイメージが強かったんですよ~。
「解たま」では少し違う(面白い)面もあるのかな?と思ってましたが、今回の役ではカチッとした面白さ(どう表現したらいいんだろ?)が炸裂しました
トークショーでは「台本をそのまま読んだらこうなった」と仰ってましたが、素の山口さんが見えた感じ(実際の山口さんはどうかわかりませんが)で、衝撃&笑劇でした~。
こういう山口さん、もっと観たいです!!

終演後、ポストショートークがありました。
司会は「親の顔が見たい」で教師をやってる父親を演じた宮本充さん。
四季のオフステやリハ見は、公演委員長が司会をされることが多いですが、昴ではその公演には出演されていない方が司会をされるんですね~。
出演は今回のキャストと山田太一さん、山田さんは優しそうなおじさまです。

最初は、山田太一さんお一人でのトーク。
旅行に出ていたので(稽古は見たけど)今日が初めての観劇。
これを書いた時は癌告知はあまりしてなかった(今回の舞台では告知をしないのは20%と言ってました)、AIDSの検査もちゃんとするには2か月かかるということです、昔は3か月でした。
見えないもの(亡くなった母)が出てくるのは、出雲に出かけたとき、禰宜さんから聞いた「我々は見えるものを支配しに来た、見えないものは任せておこう」という話に感銘を受けたから。
TVドラマだと、見ている人の本当の反応は判らないけれど、舞台だと反応がよく判るので舞台作品を20作書いた。
来年は21作目がある。
作品は細かいことの積み重ねが大事で、テーマは二の次三の次だと思ってる。
というようなお話でした。

次は出演者も混ざっての座談会形式。(抜粋です)
一柳「(役がつかめなくて悩んでいたら)稽古4日目に山田さんがいらして開口一番「コメディですから」その言葉で気が楽になった。早い段階で来ていただいて良かった」

宮本「山口さんの吉野医師、台本そのままやったらこうなったと言ってましたが、モデルはいますか?」
山田「いない。書いてるとわいてくる」

西本「困ったことがひとつある。一柳さんの台詞に(西本さんの役は)「金融であくどいこともやった」とあるけど…昔「十二人の怒れる男」で4番をやった時、福田恆存さんが見て「金には縁が無い人」と言われた。それほど金には縁のない人間なので」

田中「山田さんの作品は「、」が多い。いつもやってる福田さんのは2行くらい「、」がなかったりする。「、」の意味が解ってきたら、台詞がスルスル入ってくるようになった」
山田「すみません(笑)」

宮本「僕の母が山田さんの作品を観て「この人の気持ちはよくわかる。書いたのは男の人なのに何で(女性の気持ちが)わかるんだ?と言ってました」
山田「誰かにインスパイアされたわけではない。書いてるうちに、こういうふうに言った方がいいのかなと思えてくる」

最後に山田さんから、ご自身の作品に対する思いが語られました。
「合理的なだけの話は作りたくない。細かくささやかなささやかな日常を書きたい。どこかにほころびのあるのが良い」

そうそう、西本さんは“福田こうそん”さんと仰ってました。おそらく恆存さんのことですよね?
“こうそん”さん、ってなんかいいなぁ。

"ポストショートークに山田太一さん 〈河のむこうで人が呼ぶ〉" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント